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《森の植物の歳時記》 [102] 【ツリガネニンジン(釣鐘人参)】
「山で美味いはオケラとトトキ」と言われます。このトトキがツリガネニンジンのことです(オケラは秋に白い花を咲かせるキクの仲間です)。長野、山形辺りでの呼び名のようです。
日本全土で普通に見られ、若芽はあくがなく、調理しやすいことから、山菜の王とも言われます。とは申しましても、地域によっては珍しい存在で、食べるのはちょっと遠慮したいですね。草丈が1m近くに伸びる株もある多年草です。初秋、1㎝余りの淡紫色で釣鐘状の花が下向きに沢山咲きます。ツリガネニンジンの釣鐘の所以です。ニンジンは根の形がチョウセンニンジンに似ていることからのようです。根は味噌漬け、粕漬けが美味しいという話も耳にしますが、都市近郊では、若芽を食べるよりもっと罪悪感がありませんか?
トトキのほかに、ヌノバ、ノノバ、ツリカネソウ、フウリンバナ、チョウセンバナ、トトキナ、チチグサ、チチナなど地方名も多く、地域で親しまれていたことが伺えます。
キキョウの仲間ですので、葉をちぎると乳液がでます。チチグサなどの由来です。たまに白花も見かけます。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
オケラ