献歳植物と呼ばれる新年を彩る植物の一つにマンリョウがあります。同じ赤い実をつけるセンリョウ(千両)に似ている上に、その実が大きく美しいため、センリョウに勝るマンリョウ(万両)と名付けられたと言われています。
百両はカラタチバナ(唐橘)、十両はヤブコウジ(藪柑子)、一両はアリドオシ(蟻通し)の別名です。江戸時代には「千両万両 有り通し」と言われ、お金が尽きることがない状態を願う語呂合わせがありました。そんなことから、江戸時代から明治時代ころまで、お正月を飾る縁起物として多く栽培されました。たまに見られる白実も珍重されました。
マンリョウの赤い実は年を越しても残っています。赤い色の実は、鳥に食べて欲しいからといわれることが多いのですが、鳥は寒い冬を越すために、脂肪の多い果実を選んで食べているという報告もあります。脂肪の少ないマンリョウの実は、他に食べるものがなくなってからということなのでしょう。食べられないまま、親株の下に落ちて発芽することもあります。
鳥に運ばれて、思いがけないところで育つこともあります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
マンリョウ(白実)
マンリョウの花
センリョウ(千両)
カラタチバナ(唐橘)(百両)
ヤブコウジ(藪柑子)(十両)
アリドオシ(蟻通し)(一両)