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《森の植物の歳時記》 [120]  【トウゴマ(唐胡麻)】

別名をヒマ(蓖麻)と言います。郊外の畑で果実が真っ赤に色づく姿に、思わず足を止めた方はないですか? 公園や植物園などで秋の彩りとして植えられているのを見かけることもあります。花材として売られているのをご覧になった方もあるでしょうか。
原産地は東アフリカとされていますが、日本には平安時代以前に、中国から移入されました。唐胡麻の名の由来です。
花は雌雄異花で茎の下の方に雄花、上の方に雌花が咲き、柔らかい刺のある果実をつけます。
1㎝もある大きな種子を圧搾した油は、低温でも固まりにくいことから、工業用の潤滑油として利用された歴史があります。ひまし油(蓖麻子油)と聞くと、思い出される方もあるかもしれません。工業用には花色が緑色の品種が使われていたようですが、現在目にするトウゴマは若芽、花、果実が紅い「ベニヒマ」と呼ばれる品種が多く、緑色の品種を見る機会は稀です。
強力な下剤として使われることもありますが、有毒植物ですので、素人の使用は要注意です。
大きな掌状の葉は、葉脈が紅く、秋の訪れを演出しているようで目を引きます。

廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)