道路ののり面や、石垣の隙間などから突然花を咲かせるユリに驚かれた方はないでしょうか。一見、花屋さんで売られているテッポウユリに似ていますが、何か違う?花に見えます。
台湾原産の植物で、戦前、観賞用に導入されて野生化したものです。
白色の花びらの外面に赤紫色を帯びているのが特徴です。
自家受粉でも結実することと、種子繁殖が容易くできること、崖の隙間のような貧栄養の場所でも短期間で生育、開花できることなどから、急速に分布を拡大しています。
近年では、テッポウユリとタカサゴユリの交雑種、シンテッポウユリ(新鉄砲百合)も多く見られるようになっています。シンテッポウユリは花びらの外側まで白色で赤紫色を帯びることはありません。
ヤマユリなどの在来種のユリが種子発芽から何年もかけて開花するのに対して、タカサゴユリの仲間は発芽して6カ月で開花するという報告があるくらい生育期間が短く、若い株でも開花します。栽培種から逸出して野生化し、もはや雑草化したとまで言われるようになっている理由、ご納得いただけますでしょうか。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
以下、シンテッポウユリ