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《森の植物の歳時記》  [79] 【リョウブ(令法)】

初夏に穂状の花を咲かせるリョウブは、別名ハタツモリ(畑積もり)と呼ばれる日本在来の植物です。木肌がつるつるしており、サルスベリ(猿滑り)と呼ぶ地方もあります。造園木として植えられているのを目にすることもあります。
古くから若葉が重要な救荒食として利用されていました。奈良~平安時代の律令制度下で、田畑の面積に応じて、一定量のリョウブの植栽と葉の採取、貯蔵が命じられたと考えられています。「畑積もり」の由来でもあり、「令法」と書くのもこの法令に由来すると言われています。
ニッケルやコバルトなどの重金属を樹体に高濃度に蓄積することで知られています。この性質は、リョウブを汚染土壌に植栽し、植物体を回収することで土壌の浄化が期待されており、更には採鉱へ手法の研究も進んでいます。
余談ですが、金属を樹体に蓄積する植物では、金を蓄積するヤブムラサキが知られています。ムラサキシキブの仲間ですが、毛が多く、見栄えは悪いのですが、金を蓄積するという話題は注目されます。リョウブの重金属と違い、採鉱の術は見つかっていないようで残念です。

廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)

















ヤブムラサキ