【ウツギ(卯木 空木)】
ウノハナ(卯の花)と呼ばれることもあります。卯月(旧暦4月 新暦5月)に咲くことからの名前です。ウツギは茎が中空になっていることから“空ろ木”が由来とされています。
♪ 卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて ♪
佐々木信綱作の「夏は来ぬ」の一節ですが、初夏を感じさせる懐かしい歌です。ウノハナが匂うか?と話題になります。匂うがごとく咲き乱れると解釈されているようです。
万葉集にはウノハナを詠んだ歌が24首収められていますが、そのうち、18首がホトトギスと共に詠まれています。古い時代から、両者ともに初夏の風物詩だったのでしょう。
垣根、畑の境木などとして植えられることが多い植物です。民俗学者 折口信夫は著書『花と民族』に、野山にウツギが長く咲いている年は豊作、花が少ないか早く散る年は凶作と記して、昔からウツギの花は豊凶を占う花であったと著しています。身近で見られる植物であるがゆえに、咲き具合に注目が集まったのでしょう。
造園木として、ヤエウツギ(八重卯木)やちょっとピンクに見えるサラサウツギ(更紗卯木)も目にすることがあります。
廣畠眞知子氏(千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)